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高性能住宅

内部結露とは?
見えない結露が住宅の寿命を縮める本当の理由

内部結露とは、壁や天井の内部で起こる見えない結露のことで、木材腐朽や断熱性能低下、カビ・健康被害の原因になります。

本記事では、内部結露の仕組みや起きやすい住宅の特徴、被害例、正しい対策までをわかりやすく解説。後悔しない家づくりのために必ず知っておきたい基礎知識です。

「結露=窓だけ」だと思っていませんか?

結露=窓だけだと思っていませんか?

 

冬になると窓が濡れる、サッシに水滴がつく。

多くの方が思い浮かべる「結露」は、目に見える表面結露です。

 

しかし住宅にとって本当に怖いのは、壁や天井、床の内部で起こる「内部結露」です。

 

内部結露は住んでいる人が気づかないうちに進行し、

 

  • 木材の腐朽
  • 断熱性能の低下
  • カビ・ダニの発生
  • 家の寿命短縮

 

といった深刻な問題を引き起こします。

 

内部結露の仕組みや起きやすい条件、被害内容、正しい対策から施工会社選びのポイントまでを、専門的でありながら分かりやすく解説します。

 

 

内部結露とは何?表面結露との大きな違い

内部結露とは何?表面結露との大きな違い

 

内部結露とは、住宅の壁・天井・床などの構造内部で水蒸気が冷やされ、水滴になる現象の事です。

 

内部結露は、室内で発生した湿った空気が壁の中へ入り込み、内部の冷えた部分で冷やされて水滴になることで起こります。

 

 

内部結露と表面結露の違い

表面結露は拭き取れば一時的に解決しますが、内部結露は長期間放置され、構造そのものを劣化させます。

 

内部結露と表面結露の違い

項目 表面結露 内部結露
発生場所 窓・壁の表面 壁体・天井・床の内部
見えるか 見える 見えない
発見しやすさ すぐ気づく ほぼ気づかない
被害の深刻度 比較的軽微 非常に深刻

 

 

内部結露が発生する仕組み

内部結露は、主に以下の3つの条件が重なることで発生します。

 

① 温度差の存在

冬は室内が暖かく、外が冷たい状態になります。 暖かい空気は多くの水蒸気を含み、壁の中に入り込むと急激に冷やされます。

 

このとき露点温度を下回る部分で水滴化します。

 

② 湿気の移動

空気中の水蒸気は、以下の部分などから構造内部へと侵入します。

 

  • 隙間
  • コンセント周り
  • 壁の継ぎ目
  • 天井裏

 

③ 防湿・気密・断熱の不備

内部結露の多くは、以下のような施工品質の問題によって引き起こされます。

 

  • 防湿層が正しく施工されていない
  • 気密が確保されていない
  • 断熱材の欠損・圧縮

 

 

湿度が高いと内部結露は起こりやすくなる?

湿度が高いと内部結露は起こりやすくなる?

 

内部結露は温度差だけでなく、湿度の状態にも大きく影響されます。

 

空気中の湿度が高いほど水分量が増え、壁の内部へ湿気が移動しやすくなるため、内部結露が起こりやすくなります。

 

特に冬場の暖房使用時や、梅雨時、冷房を使用する夏場などは、室内外の湿度差が大きくなりやすい時期です。このような環境では、壁の内部に入り込んだ湿気が冷やされやすく、結露が発生しやすい状態になります。

 

また、室内の湿度が高い状態が続くと、防湿や断熱の性能が十分であっても、結露リスクを完全に防ぐことはできません。

そのため、断熱や気密だけでなく、湿度を適切にコントロールする換気計画が、内部結露対策では重要なポイントになります。

 

適切な換気と湿度管理によって、構造内部に湿度をため込まない環境をつくることが、内部結露を防ぐ基本となります。

 

 

冬型結露と夏型結露(逆転結露)

冬型結露(従来型)

 

冬の室内の湿った空気が壁内に入り、外気側で冷やされて発生する結露です。

特に寒冷地や暖房を多用する住宅で発生しやすい傾向があります。

 

夏型結露(逆転結露)

 

近年増えているのが夏型結露(逆転結露)です。

 

夏は外気が高温多湿である一方、室内は冷房によって冷やされた状態になります。

このとき外の湿気が壁の中へ侵入し、室内側の冷たい部分で水滴となって現れるのが夏型結露です。

 

特に高断熱・高気密住宅ではこの現象が起こりやすく、設計や施工に不備があると、構造内部に深刻な被害を招く恐れがあります。

 

 

内部結露がもたらす深刻な被害

内部結露がもたらす深刻な被害

 

① 木材の腐朽と構造劣化

柱・梁・土台が長期間湿った状態になると、腐朽菌が繁殖し、耐震性・耐久性が著しく低下します。

 

見た目は問題なくても、内部では強度が失われているケースも珍しくありません。

 

② 断熱性能の低下

断熱材が濡れると、

 

  1. 本来の断熱性能が発揮できない
  2. 乾きにくくなる
  3. さらに結露しやすくなる

 

という悪循環に陥ります。

 

③ カビ・ダニによる健康被害

壁内で発生したカビは、空気中に胞子を放出し、アレルギー・喘息・シックハウス症候群等の健康被害を引き起こす恐れがあります。

 

④ 将来の大規模修繕リスク

内部結露は発見が遅れるため、

 

  • 壁の解体
  • 断熱材の入れ替え
  • 構造補強

 

など数百万円規模の修繕になることもあります。

 

 

内部結露が起きやすい住宅の特徴

内部結露が起きやすい住宅の特徴

 

内部結露は、すべての住宅で起こるわけではありません。

設計方法や断熱・気密の考え方、施工精度によって、発生しやすい住宅とそうでない住宅には明確な差があります。

 

ここでは、特に内部結露のリスクが高くなりやすい住宅の特徴について解説します。

 

高断熱だが施工精度が低い住宅

断熱性能を高めても、湿気の侵入を防ぐ層が正しくつながっていなかったり、建物に隙間が多かったりすると、かえって内部結露のリスクは高まります。

 

部分断熱・リフォーム住宅

既存住宅の一部だけ断熱改修すると、断熱した部分とそうでない部分で温度差が生じます。

その境目に冷えやすい場所ができ、結露が起こりやすいポイントが集中してしまいます。

 

外断熱・内断熱の設計ミス

工法ごとに湿気を防ぐ位置や空気の流れを正しく考えないと、本来は結露しにくい工法であっても、設計や施工のミスによって結露が発生してしまいます。

 

 

内部結露を防ぐための正しい対策

内部結露を防ぐための正しい対策

 

内部結露で重要なのは、断熱だけでなく、防湿・気密・換気を一体で計画し、建物全体で湿気の動きをコントロールすることです。

 

ここでは、内部結露を防ぐために特に重要なポイントを具体的に解説します。

 

① 防湿層を正しい位置に連続施工する

防湿層は室内側に連続して設置することが原則で、途中で切れ目をつくらず、コンセントや配管まわりも丁寧に処理し、天井や床までつなげて施工することで、初めて十分な効果を発揮します。

この「連続性」こそが、防湿対策で最も重要なポイントです。

 

② 高い気密性能を確保する

建物にすき間が多いと、いくら防湿対策を行っても、そこから湿気が侵入してしまいます。

そのため、高い気密性能を確保することが内部結露対策では欠かせません。

目安としては、C値1.0以下、できれば0.5以下を確保できる施工精度が望まれます。

 

③ 適切な断熱材の選定と施工

断熱材は、湿気を吸いにくい材料を選定し、設計どおりの厚みを確保することが重要です。

施工時に、断熱材を無理に押し込んだり、配管や下地で押さえつけたりして、断熱材が潰れて薄くなってしまったり、入るべき場所に断熱材が入っていない、隙間が空いていると本来の性能を発揮できません。

 

そのため、設計値どおりに正確に施工することが不可欠となります。

 

④ 通気層と換気計画の確保

壁の中に空気の通り道をつくり、24時間換気で室内の空気を常に入れ替えることで、

湿気がたまらないようにする設計が重要です。

 

 

新築とリフォームで異なる注意点

新築の場合

新築では、設計の段階で内部結露のリスクがほぼ決まります。

 

あらかじめ結露が起こらないかを計算で確認し、防湿・気密・断熱のバランスが取れた設計になっているかをチェックすることが重要です。

 

さらに、図面どおりに施工されているかを現場でしっかり管理できる体制が整っているかも、結露を防ぐうえで欠かせません。

 

 

リフォームの場合

リフォームでは、まず既存の壁や天井の状態を正しく把握することが大切です。

 

一部だけ断熱を強化すると温度差が生じやすく、かえって結露の原因になることがあります。

 

また、防湿の位置を見直さずに工事を進めると、内部結露のリスクが高まるため、安易な断熱リフォームは注意が必要です。

 

 

内部結露は「完成後に気づけない」ことが最大の問題

内部結露の最大の問題は、住んでいる人がほとんど気付けないことにあります。

 

壁や天井の内部で起こるため、目で見て確認することができず、住み始めた直後には異常が分かりません。

 

そのまま数年が経過し、カビの発生や床の沈み、においなどの症状が現れて、初めて問題に気づくケースも少なくありません。

完成時の検査では確認できないため、内部結露対策は施工会社の技術力と現場管理、そして誠実な施工に大きく左右されます。

 

 

施工会社選びで必ず確認すべきポイント

施工会社選びで必ず確認すべきポイント

 

施工会社を選ぶ際は、内部結露対策についてどれだけ具体的で筋の通った説明ができるかを確認することが重要です。

 

断熱性能だけでなく、防湿・気密・換気までを一体として説明できるかどうかが、大きな判断基準になります。

 

また、気密性能を示すC値や過去の施工実績をきちんと公開しているか、結露が起こらないかを事前に計算やシミュレーションで確認しているかもチェックしたいポイントです。

単に「高断熱住宅です」と説明するだけでは、内部結露対策としては十分とはいえないので注意が必要です。

 

 

内部結露を防げる家こそ、本当に長持ちする住宅

内部結露を防げる家こそ、本当に長持ちする住宅

 

内部結露は、目に見えず、住んでからも気づきにくいにもかかわらず、確実に住宅を傷めていく非常に危険な現象です。

 

そして重要なのは、「高性能住宅だから安心」とは限らないという点にあります。

防湿・気密・断熱・換気を正しく組み合わせ、建物全体で湿気の動きをコントロールしてはじめて、内部結露を防ぐことができます。

 

数値や性能だけを見るのではなく、どのような考え方で設計しているか、図面どおりに正確に施工できているか、現場の管理体制が整っているかというところまで含めて、信頼できる施工会社を選ぶことが何より重要になります。

 

内部結露対策は、完成してから確認することができません。

だからこそ、最初の設計と施工こそが、家の将来を左右する最大の分かれ道になります。

 

もし、これから家づくりや断熱リフォームを検討されているのであれば、内部結露対策についてしっかりと説明してくれる施工会社かどうか、ぜひ一度確認してみてください。

 

不安な点や分からないことがあれば、遠慮なくご相談ください。

家の本当の価値は、完成した瞬間ではなく、10年後、20年後も安心して住み続けられるかどうかで決まります。