HIGH PERFORMANCE
HOUSE
高性能住宅
知らないと危険!
ヒートショックの原因と正しい対策法
冬になり気温が下がる季節は、室内の温度差が大きい環境ではヒートショックを起こす危険性が高まります。
しかし、断熱性能の高い住宅に住むことで室内全体の温度を均一に保つ事ができるため、ヒートショックを予防することができます。
さらに、適切な対策を併用することで、リスクを大幅に軽減することが可能です。この記事では、ヒートショックが起こる原因と、断熱性能を含めた正しい対策方法について詳しく解説します。
寒い季節、入浴時に気を失い溺れてしまうといった事故が増えています。ご高齢の方は特に注意する必要があります。交通事故で亡くなる方より、入浴時に溺れて亡くなる方の方が多く、不慮の溺死及び溺水による死亡数のうち、93.1%を65歳以上が占めています。また、11月〜3月の5か月間の発生が65.3%を占めており、ヒートショックによる影響と言われています。
ヒートショックとは?
ヒートショックとは、温度が急激に変化することによって血圧が大きく変動し、体に負担がかかる現象のことです。
失神や心筋梗塞、脳梗塞、脳卒中、脳出血などを引き起こし、体に悪影響を及ぼします。特にご高齢の方に多く見られ、最悪の場合は命に関わる病気につながることがあります。冬場は暖かいお風呂を毎日の楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。そんな癒しの時間が適切な対策を取らないと一転して危険な場面になりかねません。
簡単な工夫や生活習慣の見直しで、ヒートショックのリスクを大幅に減らすことができます。次はヒートショックがどこでどのように起こりやすいか、さらにその具体的な症状について解説します。
ヒートショックを起こしやすい人
日常に潜むリスクを理解しましょう。以下の条件に当てはまる方はヒートショックになってしまう恐れがあります。
- 65歳以上のご高齢の方
- 狭心症や心筋梗塞、脳出血、脳梗塞などの脳疾患にかかった経歴のある方
- 不整脈や高血圧、糖尿病などの持病のある方
- 食事や飲酒後に入浴する習慣のある方
- 薬を飲んだ直後に入浴する習慣のある方
- 熱いお湯に浸かったり一番風呂に入ったりする習慣のある方
- 深夜に入浴をする習慣のある方
- 浴室や脱衣所、トイレに暖房がない家に住んでいる方
- 浴室の床がタイル貼りなどで冬に冷たくなる家に住んでいる方
- リビングと浴室・トイレの距離が離れていて、暖房が行き届いていない家に住んでいる方
ご高齢の方や脳疾患を患ったことのある方、持病をお持ちの方は血圧変動の影響を受けやすく、ヒートショックを起こしやすいと言われています。食後や飲酒後は、血圧が上昇・下降しやすい状態に陥るため、晩ご飯や晩酌の後に入浴する習慣がある人は注意してください。
食後は、胃腸が食べ物を消化するために血流が集まり、脳への血流が保てず、めまい・失神を引き起こすこともあります(食後低血圧)。このような食後低血圧を起こした経験のある方は、食事の前に入浴をする、または、食後に1時間以上の休憩をとってから入浴しましょう。
また、ヒートショックは年齢が重ねるほどリスクが高くなるといわれていますが、若者がヒートショックを引き起こすことも十分にあります。条件が重なれば、若い方でもヒートショックになってしまうリスクが高まるため注意が必要です。
発生しやすい場所とタイミング
ヒートショックは、家の中の温度差が大きい場所や、体が急激に温度変化を感じるタイミングで発生しやすくなります。以下は特に注意が必要な場所とタイミングです。
入浴時の脱衣所と浴室
タイミング:冬場に寒い脱衣所で服を脱ぐ時。
湯船に浸かって体が温まった後、浴室を出る時。
理由:冷えた体が急に暖かい浴室に入る、あるいは温まった体が寒い脱衣所に戻ることで、血圧が急上昇・急下降しやすくなります。
トイレ
タイミング:暖かい居室から寒いトイレに移動する時。
理由:トイレは暖房が効いていないことが多く、急激な冷えが体にストレスを与え、血管が収縮して血圧が急上昇することがあります。
廊下や玄関
タイミング:暖かい部屋から冷えた廊下や玄関に移動する時。
理由:部屋間で温度差が大きいと、体が急な冷気にさらされ、血圧が変動しやすくなります。
就寝時・起床時
タイミング:暖かい布団から出た時や、冷えた部屋で着替える時。
理由:起床時の体温が低い状態で冷気に触れると、血圧が乱れやすくなります。
これらの場所やタイミングを意識し、適切な暖房設備や防寒対策を取り入れることで、ヒートショックのリスクを大幅に減らすことが可能です。
ヒートショックの症状
ヒートショックが発生すると、体には次のような症状が現れることがあります。
これらは初期症状から重症化するものまで段階的に表れることが多いです。
初期症状
・立ちくらみ・めまい
急な温度変化により血圧が乱れることで起こります。
・動悸・息苦しさ
血圧や心拍数の急激な変化で心臓に負担がかかることが原因。
・冷や汗
自律神経が乱れることで、体が急激に汗をかくことがあります。
・顔面蒼白
血管の収縮によって血流が滞り、顔色が悪くなることがあります。
中等症状
・失神(気絶)
急激な血圧低下によって脳への血流が減少し、一時的に意識を失う場合があります。
・嘔吐
血圧の変動が内臓にも影響を及ぼし、吐き気を伴うことがあります。
重症化した場合
ヒートショックが重篤化すると、命に関わる以下の状態を引き起こすことがあります。
・心筋梗塞
心臓への負担が大きくなり、冠動脈が詰まることで発症する可能性があります。
・脳卒中(脳梗塞・脳出血)
急な血圧の上昇が原因で、脳の血管が破れる(脳出血)または詰まる(脳梗塞)ことがあります。
・心肺停止
血圧の大きな変動により、心臓や呼吸機能が停止する場合もあります。
ヒートショックから命を守るための具体的な予防
ヒートショックを起こさないためには、しっかりとした予防が必要です。生活習慣の改善でできることなので、ぜひ実践してみてください。
室内の温度差をなくす
脱衣所、浴室、トイレ、廊下等に暖房器具(小型のヒーターや温風機)を置いて温度を暖かく保ちましょう。浴室は浴槽のフタを開けておき、シャワーで給湯すると暖かくなります。また、断熱性の高い住宅に住むことで家全体の温度差がなくなり、快適に過ごすことができます。
入浴時の工夫
湯温は38〜40℃のぬるめに設定しましょう。暑すぎると血圧に大きく影響を与えます。また、湯舟にはゆっくり入ってください。かけ湯をしてから湯船に入ることで血圧の変動を抑えることができます。
衣服の調整
お出かけの際はしっかり防寒対策をしましょう。ご自宅でもカーディガンや靴下等で寒さを感じないように気を付けてください。また、カイロや湯たんぽ、電気毛布を使い暖かく保ちましょう。
家族や周囲のサポート
入浴時にヒートショックが起こると溺死してしまう可能性があります。ご家族と同居している場合は声掛けをしてから入浴しましょう。一人暮らしの場合は携帯を近くに置いておくなどしてすぐに連絡が取れるようにしておいてください。必要に応じて緊急呼び出し装置や見守りサービスの導入も検討しましょう。
断熱性能の高い住宅の重要性
断熱性能の高い住宅は、室内環境を快適に保つだけでなく、健康や安全面でも非常に重要な役割を果たします。特に冬場に多発するヒートショックを予防するためには、住宅の高断熱化は非常に効果的です。
高断熱の住宅は室内の熱が外に逃げにくく、外の冷気が室内に入りにくいため、部屋ごとの温度差が少なくなります。
家全体が一定の温度を保てるため、浴室や脱衣所、トイレなどの寒さを感じやすい場所でも快適な温度を保つことができるため、急激な血圧の変化を抑える事が可能なため、身体への負担が減り、ヒートショックのリスクを大幅に軽減することができます。
断熱性能の高い住宅は、エアコン1台の小さなエネルギーでも家全体が暖かく、経済的でありながら安全性が確保できます。
温度差のない快適な暮らしでヒートショックリスクを軽減
ヒートショックは、急激な温度変化によって深刻な健康被害をもたらす現象です。家庭内の入浴時やトイレなどで発生しやすいこのリスクは、室内の温度差をなくすことで大幅に軽減できます。
断熱性能の高い住宅に住むことで、家全体の温度を一定に保ち、急激な温度差による血圧の乱れを防ぐことが可能です。
また、浴室や脱衣所を事前に暖める工夫や適切な湯温設定、体温調節のための衣服選びなどの対策を取り入れることで、更に安全性を高めることができます。
断熱性能を高める住環境への投資は、健康リスクを減らすだけでなく、快適な暮らしやエネルギー効率の向上といった長期的なメリットももたらします。家族全員が安全で安心な生活を送るために、温度差のない暮らしを実現してヒートショックを予防しましょう。