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シロアリ被害を見逃すな!
早期発見と効果的な確認・対策ガイド

シロアリは住宅の木材を食い荒らし、住宅の強度を低下させるとても危険な害虫です。見えない部分で進行してしまうと柱が脆くなり、地震時の倒壊リスクも高まります。
被害が拡大し、高額な修繕費がかかる前に、プロの定期診断を受けて早期発見と対策を行うことが大切です。
本記事では、シロアリ被害の兆候や予防策など、押さえておくべきポイントを詳しく解説していきます。

シロアリは住宅の木材を食い荒らし、住宅の強度を低下させるとても危険な害虫です。
 
見えない部分で進行してしまうと柱が脆くなり、地震時の倒壊リスクも高まります。被害が拡大し、高額な修繕費がかかる前に、プロの定期診断を受けて早期発見と対策を行うことが大切です。

 

本記事では、シロアリ被害の兆候や予防策など、押さえておくべきポイントを詳しく解説していきます。

 
 

シロアリとは?

シロアリとは?

シロアリとは木を食べる害虫です。住宅の柱や床などの木材を食べてしまい、住宅に深刻な被害を与えることもあります。名前に「アリ」とついているため、アリ(黒アリ)の仲間と思われがちですが、実はシロアリとアリは全く別の昆虫です。実際には、アリはシロアリの天敵であり、シロアリはアリに見つかると襲われてしまうのです。

 

シロアリとアリの違い

シロアリはゴキブリ目シロアリ科に属し、もともとはゴキブリから派生した昆虫です。一方、アリはハチの仲間であり、派生のルーツが異なります。一見似ているように思われがちですが、体の構造や羽、触角の形などに大きな違いがあります。

 

シロアリ アリ
触角の違い 触角は直線的で数珠のように並んでいます。 触角はくの字に折れ曲がっているのが特徴です。
羽の違い 羽はくすんだ透明感のない色をしており、模様(翅脈:しみゃく)ははっきりしていません。 羽は非常に透明度が高く、透けて見え、翅脈も大きくはっきりとしています。
体全体の違い 胸から胴までがつながって見え、くびれがないのが特徴です。 明確なくびれがあり、胸と腹の境目がはっきりしています。
習性の違い 木材を食べるのに対し、アリは食べ物を探して運ぶ習性があります。シロアリは湿気を好み、床下や壁の中など見えない場所で活動します。 地上や屋内に巣を作ることが多いです。

 

こうした特徴を観察すると、シロアリとアリはまったく異なる昆虫であることがよくわかります。シロアリの羽アリを見かけた際は、アリと見間違えないように注意しましょう!

 
 

シロアリの長い歴史

シロアリの歴史は非常に古く、約3億年前にゴキブリの仲間から分かれて誕生したと考えられています。実は、アリが誕生するよりも前から地球上に存在していた、非常に歴史が長い昆虫なのです。

 

日本に生息するシロアリの種類

日本にはいくつかの種類のシロアリがいますが、特にヤマトシロアリやイエシロアリが住宅に被害を与えることで知られています。

 

  • ヤマトシロアリ
    日本全国に分布し、湿った木材を好みます。床下や浴室などの湿気が多い場所で活動し、被害は比較的ゆっくり進行します。
  • イエシロアリ
    主に温暖な地域に生息し、乾いた木材にも被害を与えます。繁殖力がとても強く、被害も急速に拡大するため、特に注意が必要です。

 

有名な外来種

  • アメリカカンザイシロアリ
    北米原産の乾材シロアリで、日本では比較的珍しいものの、輸入家具や木材とともに持ち込まれ、乾燥した木材にも生息できるため関東や九州を中心に被害が増加しています。発見や完全な駆除が難しく、非常に破壊力が強いため早期発見と予防が重要で、従来のシロアリ対策だけでは不十分なことがあるため、薬剤散布に加えて燻蒸処理や部分駆除が必要になる場合があります。
     

 
 

シロアリによる食害と住宅への影響

シロアリによる住宅への影響

シロアリの食害は、住宅の耐久性や安全性に深刻な影響を及ぼします。シロアリが柱や梁、床下、壁などを食い荒らすことで、建物の構造が脆くなり、地震や台風などの災害時に倒壊するリスクが高まるため注意が必要です。近年では外来種シロアリ「アメリカカンザイシロアリ」被害が拡大しています。

 

シロアリの食害の特徴

  • シロアリは木材の内部から食害するため、外観は問題がない状態でも、中がスカスカになり、進むと木材が脆くなり建物の強度が低下します。

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  • イエシロアリは繁殖力がとても強く、大量の個体が集団で木材を食べるため、一晩で目に見えるほどの被害が出ることがあります。

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  • シロアリは地中や壁の隙間を移動する際に土や糞を混ぜた蟻道(トンネル)を作り、建物の基礎部分などで発見されると被害の兆候となります。

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  • シロアリは乾燥に弱く、床下や浴室の周囲、古い家の基礎部分などの湿気の多い場所で活動することが多いです。 
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シロアリ被害による住宅への影響

  • シロアリの柱や梁が傷み、建物の強度が低下します。
  • 基礎部分が弱くなり、耐震性能が低下します。
  • ドアや襖などの開口部に歪みが生じ、開閉しにくくなります。
  • 畳がボロボロになり、細かい木屑が落ちるなどの兆候が現れます。 

 
このように、シロアリの被害は住宅のあらゆる部分に影響を及ぼし、放置すると修繕が難しくなることがあります。早期発見と対策が重要なので、定期的な点検を行いましょう!

 

シロアリ被害の確認方法

シロアリ被害の確認方法

シロアリによる被害を早期に発見することは、建物の耐久性を維持するために非常に重要です。

 

  1. 建物の異変をチェック

シロアリは木材の内部を食害するため、外部からは被害に気づきにくいですが、いくつかの異変を確認することで被害を早期に発見することができます。

 

✅床や柱を軽く叩き、空洞音を確認

シロアリが木材を食べ進むと、内部がスカスカになり、叩くと軽い音(ポコポコ音)がします。この進む場合、木材内部が空洞になっている可能性が高いです。

 

✅ドアや襖(ふすま)、窓の開閉に問題があるか確認

木材が食害されることで、ドアや窓、襖が変形し、開け閉めがスムーズにできることがあります。シロアリの食害は、建物の構造に影響を与えるため、異常を感じたら点検が必要です。

 

✅畳や床が沈む、たわむ

シロアリの食害が進むと、床下の木材が強度を身に着け、踏むと沈んだり、たわんだりすることがあります。 畳も同様にボロボロになることがあるため、床を踏んだ時に異常を感じたら早めに確認しましょう。

 

✅木くずや粒が落ちている

シロアリは木材を食べる際にフンを出します。木くずや砂粒のようなものが砂床や壁に落ちている場合、シロアリの存在を疑うべきです。

 

  1. シロアリの痕跡を探す

シロアリは目に見えない部分でも問題なく食害を進めるため、細かい痕跡をチェックすることが重要です。

 

✅蟻道(ぎどう)の存在を確認

シロアリは湿気を気にして、土や糞を混ぜた蟻道(トンネル)を作ります。基礎部分や壁にその痕跡がないか確認しましょう。もし見つかれば、シロアリの被害が進行している可能性が高いです。

 

✅羽アリの発生を確認

4〜7月の暖かい時期には、白っぽい羽アリが飛び立ちます。 特に室内で羽アリを見つけた場合は、シロアリが建物内で繁殖している可能性が高いです。

 

✅死骸や羽の抜け殻を確認

羽アリは集まって飛び出す際に羽を落とします。窓際や床に羽の抜け殻が大量に落ちている場合、その周辺にシロアリが出現している可能性が高いです。

 

  1. 床下・玄関・屋外をチェック

シロアリは地下から侵入しやすいため、床下や屋外だけでなく、玄関周りのチェックも重要です。

 

✅床下の木材や基礎にヒビや食害跡がないか確認

床下の木材や基礎部分にヒビや変色、食害の跡がないかチェックしましょう。シロアリの被害が進行している場合、木材が脆くなってしまい、見た目にも変化が現れます。

 

✅屋外の木製フェンスやデッキ、玄関の木部や基礎の劣化をチェックしましょう。

屋外の木製構造物がボロボロになり、崩壊している場合や、玄関のドア枠や床の木材がふかふかして変色している​​場合は、シロアリの食害が進んでいる可能性があります。

 

✅シロアリが侵入しやすい場所をチェック

湿気が多く、通気性が悪い場所(例、地下室や床下)はシロアリが侵入しやすい環境です。これらの場所をチェックし、湿気対策を行うことが予防につながります。

 

シロアリ被害を防ぐための対策

シロアリ被害を防ぐための対策

シロアリ対策の基本は、家の中への侵入を防ぐことです。

そのための主な方法としては、「バリア工法」と「ベイト工法」の2つがあります。

それぞれの方法でシロアリをどのように駆除するのかご説明するとともに、各方法のメリット・デメリットについても併せてご説明いたします。

 

バリア工法

バリア工法は、昔から広く使われている代表的なシロアリ駆除方法です。現在侵入しているシロアリを最も迅速かつ確実に駆除できる点が大きな特徴です。

シロアリは主に土中から侵入するため、床下に薬剤を散布することで、侵入経路を遮断することが可能です。最近の薬剤は効果が高く、通常は約5年間の再発を防ぐことができます。

 

バリア工法のメリット

メリット①:すぐに効果が現れる

薬剤の効果でシロアリを直接駆除するため、施工したその日から被害が止まります。

さらに、新たなシロアリが侵入しようとしても、薬剤が浸透した土壌には近づけず、木材も守られるので安心です。即効性があるだけでなく、効果が最低5年間持続するのも大きな利点です。

 

メリット②:コストが比較的安い

1日で施工が完了するため、コスト面でも大きなメリットがあります。一方で、ベイト工法は定期的なメンテナンスが必要となるため、バリア工法に比べてコストが高くなる傾向があります。できるだけ予算を抑えたいと考えるのは自然なことで、そのためコストの安さからバリア工法を選ぶ方も多いです。

 

バリア工法のデメリット

デメリット①:薬剤の使用

「日本しろあり対策協会」が認定する薬剤は、十分に検査されており、人体への影響が極力少なく安全性の高いものですので、基本的には安心して使用できます。しかし、妊娠中の方、小さなお子様、またペットがいる家庭では、化学系薬剤に対して不安を感じる方も多いでしょう。例えば、薬剤を規定量以上に使ったり、使用方法を守らなかった場合は、安全性が確保されなくなります。また、アレルギー体質の方は、より慎重に使用することが推奨されます。

 

デメリット②:壁や床に穴を開ける必要がある

土台の木材に穴を開けて薬剤を注入するので、家の耐久性が下がるのではないかと心配される方もいるかもしれません。確かに、木材に穴を開けすぎると、耐久性に影響があるかもしれませんが、必要な部分だけに穴を開けて薬剤を使うので、普通は木材や家の強さにほとんど影響はありません。

 

ベイト工法

ベイト工法は、シロアリが食べる毒エサ(ベイト剤)を建物の周りに置く方法です。シロアリはエサを仲間に渡す習性があるため、このベイト剤が巣の中で広がり、最終的に巣全体を駆除することができます。この方法でシロアリを根本的に駆除できますが、効果が出るまでには1〜3か月ほどかかります。エサが巣に持ち帰られ、効果が広がるまで待たなければならないため、施工後すぐにシロアリがいなくなるわけではありません。

 

ベイト工法のメリット

メリット①:建物に穴を開けない

施工中に家の木材に穴を開けることがないため、家の構造を傷つけることなくシロアリの駆除を行うことができます。家を傷つける心配がないため、大切な建物であっても安心して使用できる点が大きなメリットです。

 

メリット②:健康に優しい

使用する薬剤は、十分な安全性が確認されており、人体に対しても健康面でのリスクが非常に低いとされています。また、薬剤からは匂いが発生することがないため、施工後も室内に不快な臭いが残ることなく、快適な環境を保つことが出来ます。

 

ベイト工法のデメリット

デメリット①:コストが高い

ベイト工法は、バリア工法に比べて駆除にかかるコストが高くなることが多いです。さらに、毒エサを定期的に確認して管理しなければならないため、設置費用だけでなく、毎月の管理費がかかることがあります。

 

デメリット②:駆除に時間がかかる

毒エサを確実に食べさせることは難しく、もし食べさせることができたとしても、効果が現れるまでに約6ヶ月から1年かかると言われています。今すぐに被害がひどくなっている人にとっては、この期間はとても長く感じると思うかもしれません。

 

シロアリ駆除で重要なのは、家の構造や環境に合った方法を選ぶことです。

それぞれの方法にはメリット・デメリットがあるため、ご自宅の状況や重視したいポイントに応じて適切な方法を選びましょう。

 

シロアリ対策で住宅を守る

シロアリ対策で住宅を守る

少しの工夫でシロアリが寄りつきにくい環境を作ることが可能です。取り返しのつかない状態になる前に、シロアリの予防対策をしっかり行うことが重要です。日本で発生するシロアリ被害の多くは、ヤマトシロアリとイエシロアリによるものです。これらのシロアリは、暗く湿った場所を好み、木材に含まれるセルロースを食べて生きています。

 

シロアリ対策は、少しの手間で実践できる方法がいくつかあります。これらの方法を取り入れることで、シロアリの侵入を防ぐことが可能です。以下に、手軽にできるシロアリ予防法をいくつかご紹介します。
 
 

自分で行えるシロアリ対策

既に住んでいる家でも、今からできるシロアリ対策があります。

シロアリが侵入しにくい環境を作り、定期的なメンテナンスを行うためのポイントを紹介します。

 

  1. 家の周囲に物や木材を置かない
    木材はシロアリの格好のエサになるため、家の周囲に置かないことが大切です。
    シロアリの好物である木材を放置すると、シロアリを引き寄せてしまい、結果として住宅に被害をもたらす恐れがあります。木材以外にも、木が原料のダンボールや合板などはシロアリのエサとなります。シロアリの侵入を防ぐためにも、家の周りや外壁付近に不要な木材があれば、早めに片付けておきましょう。
  2.  

  3. 風通しと日当たり
    シロアリは湿気が多く暗い場所を好むため、こうした環境を作らないように、風通しを良くし日当たりを確保することが重要なポイントです。大きな物を置くと日光が遮られ、湿気がこもりやすくなるため、換気口や建物の基礎周りにはできるだけ物を置かず、シロアリが寄りつきにくい環境を整えましょう。
  4.  

  5. 水漏れ箇所は早めに修繕する
    シロアリは湿気の多い環境を好むため、水漏れを発見した際は速やかに修繕することが重要です。水漏れをそのままにしておくと、建材の木材が腐食しやすくなり、その腐った木材がシロアリの格好のエサとなってしまいます。屋根や外壁の劣化が原因で発生する雨漏りも、シロアリにとって快適な環境を作り出してしまいます。そのため、日常的に家全体のメンテナンスを行い、雨漏りがないか定期的に確認することが重要です。

 

長く快適に暮らすためには、住宅のシロアリ被害をおろそかにすることはできません。日本は湿気が多く、木造住宅も一般的なため、シロアリ対策は欠かせません。新築時にしっかりと予防策を講じておくことで、長期間にわたってシロアリの被害を防ぐことができます。
 
また、既に住んでいる住宅でもシロアリ対策は十分可能です。「もう遅い」と諦めず、今できることから少しずつ取り組んでいきましょう。

 
 

快適な住まいを守るために今できること

快適な住まいを守るために

シロアリによる被害があるかどうかを確認するのは、専門家に任せるのが最も確実です。

 

シロアリは目に見えない場所で住宅に被害を与えるため、気づかないうちに柱などが脆くなり、最悪の場合、地震などの自然災害で建物が倒壊するリスクがあります。

 

そのため、定期的に専門家による診断を受けることを強くお勧めします。シロアリ対策は早期発見が重要であり、プロによる点検を通じて、安心して暮らせる環境を保つことができます。