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ペラペラ太陽光って何?
従来の太陽光発電と徹底比較!
6つのメリットと3つのデメリット

ペラペラ太陽光をご存じでしょうか?名前の通りにペラペラで、薄型軽量の太陽光発電のパネルのことです。ビニールハウスや、プレハブなどでも利用できるとして、近年開発され、注目されています。

今回は、このペラペラ太陽光と従来の太陽光発電を徹底比較しましたので、ご紹介します。ペラペラ太陽光のメリットやデメリットも併せて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

ペラペラ太陽光とは?

ペラペラ太陽光とは、いわゆる薄型でペラペラの太陽光発電のパネルのことです。日本人が開発した太陽光パネルとして今注目を集めている太陽光発電です。ペラペラ太陽光には、種類も幾つかあり、発電効率が良いペラペラ太陽光では、ペロブスカイト素材が注目されています。

 

地震大国日本では、従来の太陽光発電の仕組みでは設置に課題がありました。しかし、薄型で軽量のペラペラ太陽光であれば、地震にも強くコストも抑えられ、太陽光パネルの設置が実現できるとして、注目されています。

 

ペラペラ太陽光は開発から数年が経過しているものの、日本での普及率はまだ太陽光発電全体の5%未満にとどまっています。これからの課題を克服し、さらなる普及が期待される技術です。

 

ペラペラ太陽光と従来の太陽光発電との比較

ペラペラ太陽光と従来の太陽光発電との比較

 

従来の太陽光発電とペラペラ太陽光の比較表をまずはご覧ください。従来型と比べて将来性があり、期待が大きいことがわかります。

 

ペラペラ太陽光(薄膜型) 従来の太陽光(結晶シリコン型)
正式名称 薄膜太陽電池(例:CIS、CdTe) 単結晶/多結晶シリコン太陽電池
厚さ・重さ 非常に薄く軽量(数mm以下)

柔軟性あり

厚みあり(数cm)

重く硬い

設置場所の自由度 高い:壁面、曲面、屋根の上に直接貼れる 低め:頑丈な屋根や地面に固定設置が必要
発電効率 やや低め(10〜14%程度) 高め(18〜23%程度)
弱光下での性能 比較的強い(曇りでもある程度発電) 弱光時に効率低下しやすい
発電開始温度 低温でも発電開始しやすい 高温で効率が落ちやすい
初期費用 材料や用途によっては安価なものもあり 標準的または高め
寿命 10〜20年程度(種類により異なる) 20〜30年以上
代表メーカー Solar Frontier、First Solarなど Panasonic、シャープ、カナディアンソーラーなど
適した用途 軽量屋根、工場、仮設設備、車載・屋外デバイス 住宅、ビルの屋上、メガソーラー

※2025年7月時点

 

 

厚さや重さの比較

ペラペラ太陽光はクリアファイルのようなシートのパネルになっていて、非常に薄く軽量です。比較して、従来の太陽光パネルは、数センチの厚みがあり、重量感と硬さが特徴的です。

 

そのため、これまで日本では塩害のある海の近くや、積雪の多い地域での太陽光パネルはなかなか普及していませんでした。しかし、ペラペラ太陽光であれば、塩害地域でも保証があり、また、曲面にも設置できるため、積雪の多い地域でも導入の実現が可能になっています。

 

発電効率の比較

発電効率の面では、ペラペラ太陽光は10%から14%と、従来の太陽光と比較するとまだ発展途上の部分があります。

 

しかし、注目を集めているペロブスカイト素材を活用すれば、発電効率は従来型と同等になる可能性があります。発電効率に関しては改善の余地があり、将来の技術進化によってさらに高いパフォーマンスが期待されています。

 

設置場所の比較

設置場所の柔軟性はペラペラ太陽光に軍配が上がります。ペラペラなので、これまで太陽光発電が実現できなかった、ビニールハウスや、体育館などの曲面の屋根や、壁面などにも設置可能です。一般住宅の屋根でも補強なしに直接貼れる特徴があります。

 

対して、従来の太陽光発電パネルは重いため、一般家庭の屋根では補強が必要でした。そのため、後から太陽光を導入しようとしても設置が難しいという課題がありましたが、新しいペラペラ太陽光がその問題を解決する糸口となるでしょう。

 

費用の比較

費用はペラペラ太陽光の方が安価に済む可能性が高いといえます。

しかし、まだ設置できる施工会社の数が少なく、メーカーも限られている状況です。そのため、地域や建物の条件次第では、結果として従来型の方が安くなる場合もあります。

その上、ペラペラ太陽光は検証段階にある新技術で、寿命が10年から20年とされています。一方、従来型は20年から30年以上の使用が可能なため、長期的にはコストパフォーマンスを慎重に検討する必要があります。

 

しかし、今後安定供給されれば、安価に設置できることが期待されています。

 

耐久性能の比較

耐久性能の比較としては、現時点では、従来型の太陽光パネルの方が高いといえます。既に開発から70年以上経過していることもあり、耐久性は十分に検証済みです。

 

対してペロブスカイト太陽電池の始まりは2009年に開発されたものが起源とされ、まだ14年程度しか経過していません。そのため、今後の耐久性向上が期待されています。

 

ペラペラ太陽光の6つのメリット

ペラペラ太陽光のメリット

 

 

ペラペラ太陽光のメリットを5つご紹介します。ペロブスカイト太陽電池はメリットが多いので、今後の普及に期待が持てるでしょう。

 

薄型・軽量で設置場所を選ばない

ペラペラ太陽光は数ミリの薄型で軽量なので設置場所を選ばずに設置できることが大きなメリットです。これまで設置困難だった屋根でも補強なしに貼るだけで太陽光発電の恩恵を受けられます。

 

また、地震の際にも危険が少なく、電力を確保できることも大きなメリットになるでしょう。ビニールハウスや、曲面屋根の体育館、屋根が頑丈ではないプレハブなどにも設置できるので、太陽光発電を利用できる人が増える点もメリットです。

 

コスパが良い

コスパが良い点もメリットといえます。ですが、まだ生産ラインが確立していない点などもあり、現時点では確実にコスパが良くなるとは限らない点には注意が必要です。寿命の短さなどから従来型とさほど変わらないケースもあるかもしれません。

 

しかし、ペロブスカイト太陽電池は、塗布や印刷技術で製造できるため、従来のシリコン系太陽電池に比べてレアメタルを利用しないことなどから、製造コストを抑えることができます。

そのため、安定した生産と流通ができれば、確実にコスパは良くなる点には注目です。

 

建物の外観を損ねない

ペラペラ太陽光は、薄いため、建物の景観を損ねずに太陽光発電を利用できる点もメリットになるでしょう。太陽光を導入してみたいけど、あの見た目が嫌だ、と感じている人は少なくないはずです。

 

さりげなく太陽光を導入できるのは、一般家庭においては嬉しい点になりえます。

 

熱に強く効率が安定

ペラペラ太陽光の中でもペロブスカイトやCIGSは熱に対する感度が低いため、高温時でも効率が安定する点はメリットです。高温でも効率低下がしにくい特性があります。

そのため、夏に強い特性があることはメリットです。

 

弱い光でも発電しやすい

ペラペラ太陽光は弱い光でも発電しやすい点もメリットです。夏にも強いですが、曇り空や冬空でも発電しやすい特性があります。従来型と比較しても、弱い光でも発電できる特性があります。たとえば、曇りや雪の日が多く、日照時間が比較的短い福井県では大きなメリットです。

 

塩害地域でも保証対象

ペラペラ太陽光は、海岸から50m以上離れていて、直接飛沫がかからない場所であれば、重塩害地域でも太陽光発電の保証がつくこともメリットです。

 

たとえば、福井県や鹿児島県、静岡県などの塩害が大きな地域でも、太陽光発電を取り入れやすいことはメリットになるでしょう。

 

ペラペラ太陽光の3つのデメリット

ペラペラ太陽光のデメリット

ペラペラ太陽光には、デメリットやまだ課題もありますので、理解してから導入を検討しましょう。

 

発電効率が比較的低い

従来型の太陽光発電と比較すると、発電効率が比較的低い点はデメリットです。とはいえ、ペラペラ太陽光の素材にもよります。代表的な素材としては、アモルファスシリコン(a-Si)、有機薄膜太陽電池(OPV)、色素増感太陽電池(DSSC)、CdTe(カドミウムテルル)などはペラペラ太陽光の中でも発電効率が低い素材です。

 

しかし、ペロブスカイト型の発電効率は、従来型と比較しても遜色ない効率が発揮できます。そのため、ペラペラ太陽光を導入する場合は、ペロブスカイト型を選択するといいでしょう。

 

耐久性や寿命が短め

ペラペラ太陽光のデメリットは、耐久性に改善の余地があり、寿命が10~20年程度とされています。ただし、現在研究が進められており、今後の技術革新によってさらなる性能向上が期待されています。これにより、コスパの良さを活かした効果的な利用が可能になるでしょう。

 

選択肢や供給数に課題アリ

ペラペラ太陽光のデメリットには、まだ取り扱いメーカーなどが乏しく、選択肢が少ない点が挙げられます。家庭用のペラペラ太陽光を探してみても、ティーエスピーなどのメーカーが見つかる程度で、まだバリエーションはほとんどありません。ペロブスカイト型は量産が始まったばかりということもあり、大量の受注はまだ難しい点が挙げられます。

 

また、ペラペラ太陽光の施工ができる業者の数も少数です。そのため、なかなか普及していない点は今後の課題といえます。国の認証や制度の面でも、発展途中の段階にあります。そのため、今後の制度整備が期待されている状況です。

 

地震にも強い!ペラペラ太陽光も選択肢の一つに!

ペラペラ太陽光も選択肢

 

ペラペラ太陽光は地震にも強く日本の家屋には適した太陽光パネルです。ですが、まだ課題も多く、これから普及率が上がっていくことが期待されています。従来型は歴史も長く安定した発電が可能ですので、メリットとデメリットを考慮して選んでいくといいでしょう。

 

ペラペラ太陽光の登場により、太陽光発電の選択肢が今後は増えていくことを覚えておいてください。今後太陽光の導入を検討する際には、ペラペラ太陽光も検討するといいでしょう。